恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「あぁ、じゃあ俺も行く。俺も店長に報告しとくわ」



店に行く理由をすぐに悟ってくれた様子の笹倉。
なるべく暇そうな時間帯を狙うなら、昼過ぎくらいだろうか。



「っていうかさ、狭山、仕事続けるの?」

「…んん?」



どちらからともなく、ずず、と同じタイミングでコーヒーをすすり、数秒。
顔を見合わせてお互い首を傾げる私達。



「子供抱えて働くの大変だろうから、辞める選択肢もあるけど。そんな高給取りでもねぇけど、困りはしねぇくらいは、あるよ」

「…あぁ…そっかぁ」



言われて初めて、寿退職という選択肢に気付いた私。
会社に迷惑かけすぎて辞職を迫られるかも、とは怯えていたが。


専業主婦、という選択もあるのだ。



「…笹倉は、どうして欲しい?」

「狭山に任せる。働くの好きだろ」

「…そうなんだよねぇ」



ことり、とカップを置けば、ゆらりと揺れるミルクコーヒー。
砂糖入り、甘め。



「職場と話して、狭山の好きにしろよ。時間は減らしてもらって、子供に合わせては欲しいけど」

「それは、もちろんだけど。いいの?家に居ろーとか言わないの?」

「ん、任せる」



コーヒー同様、私に何かと、甘すぎないか。
少し、心配になってくる。

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