恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
甘味よりも何よりも、自然体で居たいんだよ、私は。
笹倉が何考えてるのか、実のところよくわからない。


色々とスタートが間違っちゃってる私達。
大事にしてくれようと、してるのはわかるのだけど。


恋人として積み上げたものは全く皆無だから、遠慮があったり躊躇ったり言えなかったりすることが、あるんじゃないかって。


心配になる。


言葉には出さずに、ただ隣に座る彼を、じっと眺めていれば。
視線を感じた彼と目が合った。



「何?」

「…ハゲるよ?」

「は?」



訝しく眉根を寄せて、暫く静止した、笹倉。
ゆっくりと右手を上げて、自分の頭のてっぺんに手を乗せた。



「何、俺、ハゲそうなの?」

「いや、知らないけど。こういうのって遺伝でしょ?お父さんどうなの?」

「…どうだろう」



懸命に頭を撫でる彼が可笑しくて、吹き出しそうになるのを堪えながら言う。



「暫く会ってないの?じゃあ、挨拶に行くのちょうどいいね。お父さんのハゲを確かめに行こう」



そう、私はまだ、彼の両親に会ってない。
彼が言い出さないので、遠慮してるのかと思って私から切り出してみた。


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