恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「…とりあえず…」

「うん?」

「お騒がせしてすみません」

「いえいえ、私は外野ですから。狭山さんは噂だなんだ余り気にするタイプじゃないから心配はしてなかったけれど。ってことは笹倉君と?」



にこにこと笑顔頻りの店長に、眉尻を下げて頷いた。



「彼も今日一緒に来てて。結婚の報告と書類上のこととか、店長と人事に伺いにきてるんです」



噂、侮れないな。
火のないところに煙は立たないってこのことか。


笹倉も噂を気にするようには思えないけれど、内容が内容だけに。


土下座って。
それはさすがにない。


え?ないよね?


案外容易にその構図が頭で想像できて、もしかしたら有得るかも、と少し冷や汗が出る。


色々と吹っ切ってからの恵美、なんか矢鱈強いしな。
気になるが、聞いてよいものやら。


兎に角も、店長と一条さんとの話を終えてフロアに戻る。
仕事は、一条さんが考えてくれたように契約社員という形で登録することにした。


笹倉は、話を終えただろうか。
携帯を確認すれば、メールが一件届いていた。



『フロアうろついてる』



簡潔な。


でも仕事の一環なんだろうとすぐわかる。
他メーカーの商品もある程度把握してないといけないから、私もよく休みの日に敢えてフロアを見て回っていた。


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