恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
夕食の後の洗い物は笹倉がやってくれて、私はその間にカナちゃんに電話をする。


思えば、カナちゃんは恵美の気持ちも気付いててずっと心配してくれていて。
更には私の引越しに関しては笹倉には絶対知らせるなとか。


意味深な対応をお願いしていたのに、恵美と仲直りしたことぐらいしかちゃんと知らせていなかったのだ。


一番心配かけさせたなぁと反省して、事の流れを全部説明した。



「…もう。兎に角、いろいろ一度に知って驚きですけど。恵美さんが大丈夫で、美里さんが幸せならもういいです」

「心配かけてごめんね」



多少投げやり気味にだが、そう言ってもらえて、私は見えもしないのに深々とテレビに向かってお辞儀した。



「っていうか、赤ちゃん楽しみですよ!!も、一緒に仕事した最後の方、辛かったんじゃないですか。知ってたら丸椅子持ってきてカウンターの中で縛り付けてでも座らせてたのに。私達の仕事なんて力仕事大半じゃないですか!」



先ほど誰かに言われたのと同じようなセリフを言われて、苦笑い。


社会人になってから私は随分人に恵まれたなと思う。
自分のことのように心配したり喜んでくれたりする人たちに囲まれて仕事ができていたのは、幸せだった。




「カナちゃん怒ってなかった?」



電話を切ったところで、笹倉がコーヒーを二つ持ってソファに座る私の隣に腰掛けた。

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