恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
それから、暫く商店街を歩いた後、携帯の機種変をしに行って、笹倉と同じタイプのものを色違いで選んだ。
初めてだから、使い方教えてもらえる方がいいかな、と思って。


時間待ちの間に指輪を取りに行って、おめでとうございますとか言われて少し照れくさい思いをして。


早めに帰って、家で簡単な夕食を作った。



「歩いて疲れただろ、弁当買って…」

「そんなん言ってたらずっと弁当だよ。今日はちゃんと作ります」



こういう時の笹倉は、妙に無表情で本気で言ってんのかどうなのかわからない。
いくらなんでも心配しすぎだと思うのね。


とか言いつつ、手抜きで鍋にしちゃったけど。



「お、鍋いいなぁ。一人じゃすることないもんな」

「ごめん、結局手抜きだった」



テーブルの真ん中に、ほこほこ湯気を立てる土鍋を囲んで豆腐を掬って皿にとりながら言うと、またあの無表情な顔に出会った。



「なんかあったらと思うと、怖いんだよな」

「大丈夫だって。病気じゃないんだから」



わかってんだけどなぁ。
と、呟く笹倉。



「お前、初期の頃ずっと仕事してたもんな。思い出しただけで、縄で括って拘束しときたくなる」



…ごめん、ちょっとひく。

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