恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「お前なら鼻で笑いそうだよな」
「うんまぁね。笑っちゃうね」
でもさ。
指の付け根までしっかりと嵌められて、漸く笹倉の手から離れた左手を少し広げて。
斜めに傾ければ、キラキラと光が蠢く。
「笹倉が、一生かけて証明してくれるみたいだから」
指輪を見せるように、ぱっと手を広げ、指の隙間から彼を見た。
少しきょとんとした表情と目が合って。
爺さん婆さんになるまで、返事待っててくれるって言った。
「あのセリフって、そういう意味だよね」
「……おぉ」
驚いたように目を見開いたままそんな相槌だけが返ってきた。
「何?」
「いや、色々致命的に噛み合わねぇことが多いから。それだけは伝わってたみたいで良かった」
「よくそれで結婚しようなんて流れになったよねぇ」
「言っとくけど噛み合わない大半は、お前のせいだからな」
「えー。あ、そうだ」
これ以上この流れで会話してたら、また甘ったるくなりそうなので。
私は先ほどまでカナちゃんと話をしていた携帯を手に取った。
ひらべったい、一面液晶画面でカチカチボタンの無い、スマートフォン。
「使い方教えてよ」
「…すぐ誤魔化す」
いぃでしょ別に。
嬉しいんだよ、やっとスマホ。