恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
休日の予定だった笹倉は急遽定例会議に出席しなければいけなくなり、今朝レアなスーツ姿で出勤して行った。


ふわりふわりと雪が舞う、並木道。


夜ならばイルミネーションが美しいだろう木々は昼間に見れば電飾の配線が至るところに見えて割と間抜けだ。


春になって芽吹いてくれば、少しは目隠しになるのだろうけど。
この道の先に、目的地の白くて愛想の無い建物が木々の隙間から見えていた。


住宅街と繁華街の間くらいにあるこの周辺は、人通りはあっても買い物帰りの主婦や住宅街の住人といった雰囲気で。


だから、こんな場所でよもや声をかけられるとは思わなかった。



「あれ?もしかして美里ちゃん?」



正面から歩いてきた、スーツにコートを羽織った男性にじっと見つめられ、不思議に思いながらすれ違おうとした瞬間に、呼び止められた。



「めちゃくちゃ久しぶりじゃん。元気?」

「あー。久しぶり、元気元気。そっちも元気?」



人懐こい雰囲気で片手を掲げてきて、その手にハイタッチで応えながら猛スピードで記憶を辿る。



……誰だっけ?



愛想笑いを浮かべながら、内心早く離れたかった。
なにせ、今更出会いたくない人間関係が、私には多々あるわけで。


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