恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「ひでー女。あれから同じ奴が仕切った合コン行ったって全然会わねぇし」

「あぁ、その後くらいからあんまり行かなくなったのかも。っていうかお互いさまでしょ、今、目が合ってから声かけられるまで結構間があったよ」



そっちだって、絶対うろ覚えだったに違いない。
言いながら、私は携帯をコートのポケットから取り出して画面を見る仕草をした。


今が何時かくらいは、わかってたんだけど敢えて。
急いでますって雰囲気を演出してみたのだが。



「なぁ、今からちょっと飯でも行かね?」



伝わらなかったようだ。



「は?なんで?ってか、仕事中なんでしょ」

「いーよ、今外回りだから融通利くからさ。どっか行こうや」



相手のスーツ姿を指差して指摘したのだが、その手首を掴まれた。


てか、良いわけない。
最近の営業マンのモラルはどうなってんだ。


そういや藤井さん元気かな、とか。
失礼な継がりでノッポの営業マンを思い出す。



「今から人と会うから。急いでんの」

「こんな辺鄙なとこで待ち合わせ?まぁいいや、じゃあ携帯教えてよ」



だから、なんで。


うんざりしながら、掴まれた手を振り払う。
後は、もう無視して目的地まで行ってしまおう。


そう考えて、一歩踏み出そうとした時だった。

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