恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「いっそ笹倉と付き合ってるってことにしちゃえば、変につつかれなくて済むのかな」



彼にはいい迷惑だろうけどって言葉尻に付け足した。


煙草が風に混じって香るだけで、何の言葉も返ってこなくて、不思議に思って彼女の顔を覗き込んだ。


相変わらず綺麗な横顔で、私を見てはくれなくて。



「みさって。逃げてばっかり」



急に向けられる言葉の棘の理由に、思い当たる節がなくて、声が出せずにいた。



「潔いって。どこがなの?恋から逃げてお母さんの話題から逃げて。恋愛から逃げるくせに瑛人君とは中途半端に繋がってて」

「え…と」



潔い?


以前言われたことが何故今出てくるのか、何故恵美がこんなこと話すのかわからない。
でも、何か怒らせている事実が私の声を詰まらせた。



「それか、馬鹿にしてるように見える。普通に恋愛してる人のこと」



ようやく、恵美がこちらを向いてくれて、笑顔だったから言葉とは裏腹で。
どうしたらいいのか、わからなかった。
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