恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
ことの後で汗ばんだ肌が、エアコンの風で冷やされて、だから人肌が心地良い。


……あ、意識飛んでた。


薄く目を開ければ胸板と鎖骨が見えて、微睡む私は寝ぼけた思考を巡らせる。


これ誰だっけ昨夜どうしたんだっけ……


腕枕で閉じ込められた顔を上げれば、男の顎が見えて、その角度から伺える顔立ちは、笹倉だ。


……そういや朝襲撃されて、なんか話……

あれ?……今朝?朝?
………


みるみるうちに覚醒して、青ざめた。
両手を伸ばして笹倉の顔を思い切りサンドイッチする。


ばちん!
「いてっ?!なに?!なんで?!」
「今!何時?!」


未だに寝ぼける男の肩をバシバシ叩いて目覚めを促すと、ローテーブルに置いていた携帯で時間を確認する。


「ぎゃあぁ!もう9時回ってる!シャワーもしないといけないのに!」
「あれ?どっか行くの?」


手近にあったクッションを思い切り顔面にぶつけてやった。


「出掛けるってさっき言ったよね?!」


あんたも寝ぼけてんじゃねーよ!
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