恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
レジカウンターの中に立つカナちゃんは、業務連絡メモが貼られたノートをぱらり、ぱらりと捲る。



「あ、これ明日出荷予定ですけど、暇だし今日準備しときます?個包装バームに一個ずつリボンするやつ」



明日のページの一部分を指差した。


200円のひと切れサイズ個包装の商品を一つ一つリボンをかけて30個。
確か、結婚式の2次会で配るとかのやつ。



「やっちゃうか。今商品足りる?在庫取りに行こうか」



カナちゃんは棚から個包装商品を入れてある箱を取り出して、数を確認してくれている。



「今のとこ足りますね、暇だしそんなに出る商品じゃないし、後で休憩帰りにでも取ってきます」



もくもくと、赤いリボンをかける作業を二人でこなしながら、3個目の時。



「前から喧嘩してたんですねぇ」



俯いて視線はリボンのまま、カナちゃんがぽそりと言った。



「あ、それは聞いたの?」

「恵美さんが、笹倉さんに。仲直りのお膳立てがどうのって」

「あぁ…そっか」



笹倉、そのあたりなんにも言わなかったな。



「美里さんは笹倉さんとは付き合ってもなんにもないんですよね?」

「え?…うん。彼氏とかそんなんじゃないよ。仲は良いけど」



いつかの会話のぶり返しが来て、少し動揺したから、目立たない程の間が空いた。



「…私、昨日思ったんですけど…」



言おうか未だ迷うように視線を一度さまよわせた。



< 97 / 398 >

この作品をシェア

pagetop