シルティアの魔術師
「フッ、結界を張られるとは…どういう風の吹き回しですかな?」


謁見室の来客用扉の前にいたタートスがゆっくりと部屋の中央まで足を進めます。


「ついに、私と共にシルティアを滅ぼす決心をつけて頂けたのですかな?」


タートスの眼が妖しく光ります。


「…そうでないことは、あなたが一番ご存じのはずです。ーだって」


そこまで言って、姫君はニッコリと微笑みます。



「ーあなたは、もうシルティアを憎んでいないでしょう?」
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