君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
一体何をしているんだ?

本当に変な女。


声を掛けるが、まるで幻聴だったかのようにこちらを見ようとしない櫻田。

再度、声を掛けるとやっと現実だと認識したのか、櫻田はゆっくりと立ち上がり、まるでお化けでも見るかのように、恐る恐る振り返り俺を見る。


「わぁっ!?とっ、東野さん!?」


そして案の定、オーバーに驚く櫻田。

知らないにせよ、今、お前がどんな立場に陥ってるか分かってるのか?


「なんだ、その顔は。引き締めろ。これから副社長室に行くんだぞ」


「えっ?」


副社長室に行く。それだけで当事者の櫻田には伝わったようで、表情が変わる。


「行くぞ」


時計を見ると、約束の15分前だった。

エレベーターに乗り込み、副社長室がある階のボタンを押す。


櫻田を見ると、ひどく緊張している様子。

そんな櫻田に、ふと思ったことを聞いてみた。


「櫻田、営業部にいて仕事楽しいか?」


「えっ...?」


質問したっていうのに、なかなか答えない櫻田。

そりゃそうだよな。秘書らしい仕事もろくにさせてもらえず、毎日お茶汲みばかりだもんな。

エレベーターは目的の階にたどり着き、降りる。

だけど、俺の足はなぜか真っ直ぐ副社長室へと向かうことが出来ず、止まってしまった。


「東野さん?」


そんな俺に背後から櫻田が声を掛けてきた。


もしかしたら、副社長室を出る時には、櫻田は俺の秘書ではないかもしれない。

そう思うと言わずにはいられなかった。


「俺は営業部には、女はいらないと思っている。だけどこれは俺の考えだ。櫻田は規則に則っているだけだ」


「...はい」


背後から力ない返事が返ってくる。


「櫻田は、もっと違う仕事がしたいんじゃないか?」


「えっ?」


営業部に配属になる前から、社内で何度か櫻田の仕事ぶりを目にする機会があった。
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