君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
面倒な仕事はさっさと済ませてしまいたい。


「じゃあ今週の金曜日はどうだ?」


「全然大丈夫!!ありがとう!お店はこっちで手配するから任せておいてね。あ~楽しみだな」


顔を見なくても声だけで分かる。優が喜んでいることが。


「それはよかった。櫻田には接待だって言うからな。会った時、話し合わせろよ?」


「了解!...圭吾にも久し振りに会えるから楽しみだよ。会った時、昔みたいに接してよね?」


「...あぁ、分かった」


《昔みたいに...》
優は昔から変わらなかった。あの時だって変わらず俺に接してくれた。

変わってしまったのは俺自身。

それなのに、優はやっぱり昔から変わらずで俺の気持ちを汲み取って接してくれる。


それから少し他愛ない話をして電話を切った。


さっきまでの優との会話をふと思い出し、笑ってしまった。


「優は本当に変わらないな」


変わらないでいてくれて安心した。

自然と楽しかった思い出だけが蘇る。


「何を今更思い出してるんだか。もう、どんなに願ったって戻れねぇのに」


気持ちを切り替え、ケータイをポケットにしまい、忘れるように仕事に戻った


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ーーーー


「悪い櫻田。待たせたな」


約束の金曜日。仕事が終わらず櫻田との約束の時間より遅れてしまった。


「いいえ。お疲れさまです。今日はよろしくお願いします」


「いや、悪いがよろしくな」


接待だと信じてきた櫻田は、いつも以上に余所行きのスタイルでやってきたろ

派手すぎず地味すぎず、好感度の良い印象を与えるスタイルに、罪悪感を感じる。


仕事モードで来ているのに申し訳ない。


いつものように、助手席に櫻田を乗せ車を発進させる。


外回りの時もそうだが、車内では基本お互い口を開かない。用件を話すだけ。だから嫌でも聞こえてしまうものもある。


今みたいな櫻田の溜め息。


そりゃそうだよな。花金の日に接待という名の仕事だもんな。


「悪いな、付き合わせてしまって」


優のワガママに。



「えっ?...あっ、いっ、いいえ!そんな全然大丈夫なんで気にしないで下さい!」


自分が無意識に吐いた溜め息に気付いたのか、慌てて弁解してきた。

いや、櫻田の気持ちは最もだ。俺も接待は好きじゃない。


しかも本当の接待より面倒な奴と会わせるんだから、本当に申し訳なく思う。


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