君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「ちょっと待てよ!見て分かるだろ?櫻田起きないのに、俺一人でどうすればいいんだよ」


「そんなのお姫様抱っこでもして車に乗せればいいでしょ?」


そんな無茶な話をしながらも、優は止まることなく帰り支度を進める。


「支払いはしておくから。菜々子ちゃんによろしく。また一緒に遊びましょうって伝えておいて」


「あっ...おい優!待てよ!」


「またね」


俺の話など一切聞かず、優はさっさと部屋を出て行ってしまった。


「...マジかよ」


優の足音が遠退いていく。
そんな音を聞きながら、俺はしばし方針状態に陥る。


「どうするんだよ」


櫻田を見ると、変わらず気持ち良さそうに眠っていた。


どうしたものか。
そもそも、優が悪いんじゃないのか?櫻田が自分の酒を飲んでいることに気付かなかったんだから。

...とは言え、そんな優はさっさと帰ってしまった今、俺が送っていくしかない。


「櫻田!起きろ。帰るぞ」


期待を込めて、もう一度声を掛けてみるものの、やはり起きる気配はなく。


「...仕方ない。連れていくか」


櫻田の鞄を持ち、柄にもなく緊張しながらも、そっと櫻田の身体に触れる。


「連れていくからな」


返事が返ってこないことくらい分かってはいたが、つい話しかけてしまった。


そっと抱き抱えると、鼻をかすめる甘い匂い。


女独特のこの匂いが堪らなく嫌いで仕方ないのに、なんでだろうか。
こんなにも堪らない気持ちになってしまうのは。

それに、こんなに身体が密着しているのに嫌悪感さえ抱かない。


「笑えるくらい単純な女嫌いだな」


自分の単純さに笑いながらも、落ちないよう櫻田を抱き抱える手に力をいれ、部屋を後にした。
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