君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「ヤバイ!いつもより少し遅くなっちゃった」


どうにか頑張って涙を止めたものの、いつもの時間より遅くなってしまったことに焦りを感じる。


「フーッ…よし!今日も1日頑張りますか!」


さっきの悔しさは涙と一緒に吐き出した。

気持ちを入れ替えなくちゃ。

いつものようにドアの前で深呼吸をし、ドアを開ける。

「おはようございます!」

そしていつものように、笑顔で元気に挨拶してみるものの…


「あっ…!櫻田さん、おはようございます」


いつも挨拶を返してくれるのは、小山君ただ一人だけ。

皆さん既に出社され、就業時間前だというのに、慌しく働いていらっしゃる。


「小山ー!何遊んでんだ!早くコピーしろ」


「はっ、はい!…櫻田さん、すみません」


小声で私に謝り、小山君は慌てて先輩の元へと駆けて行った。


…なによ。
『私と挨拶すること=遊び』って。酷すぎ。


何度目か分からない溜め息を漏らしつつも、奥のデスクへ視線を向けると、東野さんも既に仕事をしており、何やら電話中の様子。


いや、しかし…
ただ電話してるだけなのに、そんな姿が絵になるんだから恐ろしい人だ。
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