君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「それじゃ、櫻田さん。お先にね」


そう言い残し、足早に橘さんは更衣室を後にした。


ドアが閉まる音だけがいつまでも耳に残る。


悔しい…悔しい悔しい!!

何も言い返せない自分が悔しい。


橘さんは知ってるんだ。


私の今の現状を…!

だからあんなわざとらしく聞いてきたんだ。


悔しいのに、何も言葉が出てこなかった。


「私ってばダッサ…」


五年間、ひたすら頑張ってきたのに…


東野さんに認めてもらいたくて、ただがむしゃらにやってきたのに…


仕事はおろか、コミュニケーションも出来ない。


営業部にいると、私なんてただのお飾り状態。


認めてもらえないことが、こんなにも辛いことだったなんて…


泣きたくないのに、自然と溢れる涙。


翔ちゃんがあんなに励ましてくれたんだから、頑張らなくちゃいけないのに、どうしてか涙が止まらないや。


「あ~っ!もう!早く止まれ!」


『女はすぐ泣く』
そんなこと思われたくないし、言われたくない!

遅刻なんて問題外!

だから早く泣き止め、私。


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それから涙が止まったのは少ししてからだった。
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