2LDKの元!?カレ

「おはようございます、小松チーフ」
「……お、はよう。西野くん」
「何ひとりで百面相してるんですか?」

西野くんはそういいながら椅子を引いて座ると私の方に体を向けて、肘掛けに肘をついて頬をのせるとジッと私を見つめてくる。

そんなにおかしな顔をしていただろうか。

「百面相って……だって、企画のことでいろいろ考えてたらつい」
「チーフって、思ってること顔に出るタイプですよね。まあ、それがかわいいんですけど。思わずキス、したくなりました。……してもいいですか?」
「――えっ」

私が返答に困っていると、西野くんは冗談ですよといたずらな笑みを浮かべた。

「そんな困った顔、しないでくださいよ」
「……もう、西野くんの意地悪。冗談なんて言ってないで仕事しよ、仕事。そういえば、ル・シエルの取材日時は決まったの?」

私が聞くと、西野くんは得意げにうなずく。

「ええ、ほぼ。そのことも含めて、今日の昼から店に来るようにって鏑木さんにいわれてるんですよ。昼飯御馳走するからって」
「そうなんだ、ル・シエルのランチか。それも十分取材対象になるくらい魅力的だけどね」
「確かにそうですね」

ル・シエルのランチは、ディナーよりもリーズナブルな価格で楽しめるそうだが、予約が取れないのは昼も夜も同じだそうだ。

昼にはみちるとの約束があったが、私も同行すべきか悩むところ。

しかしながら、鏑木圭との相性はあまり良いとはいえず、呼ばれもしないのに付いて行ったら、何しに来たんだと言われかねない。

ル・シエルの取材は、西野くんに一任すると決めたのだから、素直に彼に任せようと思った。


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