2LDKの元!?カレ
その怒りの矛先はもちろん西野くんではなく、私に向けられている。
一見して彼女の表情は笑っているようにようだった。けれど、その心中穏やかではないだろう。
「では、失礼します」
そういってかすかに頭をさげるとそそくさと自分のデスクへと戻っていった。
「なんですか、あれ」
私より先に口を開いたのは西野くんだ。
「ああいう態度はないと思いますけど。それに志保子さんも志保子さんです。どうしていわれっぱなしで反論しなんですか?」
「……いわれっぱなし、ね。確かにそうだけど、私が反論なんてしたらあれくらいじゃ済まなかったかもしれないよ」
力なく笑う。すると西野くんは首を横に振り、語彙を強めていった。
「オレはガマンできなかった。彼女の悪口言われて平気でいる男がどこにいますか」
その言葉が素直にうれしい。
「ありがとう。西野くんがそう思ってくれただけで十分だよ。もう忘れる」
私がそういうと西野くんはあきれた様子で肩を竦める。
「だからつけあがるんだ。本当はもっといってやろうと思ったけど、志保子さんが困った顔をしていたからやめたんです。それに、この間も同じようなこと言われていませんでしたか?」
この間というのはおそらく、ル・シエルへ行くためにドレスアップしてきたあの日のこと。