2LDKの元!?カレ
「もうすぐっていつですか。そんなあやふやな答えじゃいやなんですよ。だからもう、あのマンションには帰らないでください。正当な理由があるにしても、志保子さんがオレ以外の男と一緒にいるなんてありえません」
愛想をつかされて、別れ話でもされるのだと覚悟を決めたのだけれど、そうではなかった。
私は彼の胸に埋もれた顔を押し上げて、ようやく息をつく。
「……祐人」
「志保子さん、うちにきてください。それでオレへの気持ちを証明してください」
そう言われてしまえば、答えは一つしかない。
私がコクリと頷くと、西野くんは私を抱く腕に力を込める。シャツを隔てて感じる彼の鼓動は、私のものよりずっと早かった。
その日私は、仕事を早めに切り上げて西野くんと一緒にマンションへ向かった。
西野くんのアパートで暮らせるだけの荷物を取りに来たのだ。
聡が帰宅していなかったのは幸いだった。スーツケースにクローゼットの衣類を詰め込む。化粧品や愛用の日用品は大きめのボストンバックに入れ、靴は紙のショッパーに数足だけ。後は、諦めた。
家具などは聡と一緒に購入したものもあるので、勝手には処分できない。どのみちまた、ここになければならないだろう。
「お待たせ、祐人」
「じゃあ、行きましょう。重い荷物はオレが持ちますから」
「うん。ありがとう」
マンションの外へ出ると、呼んであったタクシーに乗り込む。走行中の車内で、私は聡にメールを送った。
こんなタイミングで、マンションを出ることになるとは思わなかった。実感がわかない。だからだろうか、これから始まる彼との生活に心躍るというような気持にはどうしてもなれなかった。