2LDKの元!?カレ
別れを切り出したのは、私だった。
聡は大きな法律事務所に所属しながら、医療専門の弁護士としてキャリアを磨くために仕事に没頭する日々。
私は夢だった雑誌編集の仕事を優先するあまり、自分中心の生活を送っていた。
共有することが極端に減った聡との時間、それに比例するように薄れゆく愛情。
そんな生活を送る私たちでも、セックスは時々した。
同じ家に住んでいるというのに、顔を合わせるのも、言葉を交わすのものその時くらいで少し笑えた。
でもやがて、そんな体だけで繋がっているような関係が、どうしようもなく辛くて、むなしくて。
『……別れたい』
私の言葉に、聡は黙って頷いて、なのに、それからもまだ、何となく一緒に暮らし続けている。
マンションのローンが残っているからだとか、住み心地がいいからだとか、通勤に便利だからとか、そんな理由を並べてただ何となく、傍にいる。
友達のような家族のようなそんな関係で。