2LDKの元!?カレ


翌朝目覚めた私は、眠い目を擦りながらパジャマ姿でリビングへでた。

聡は既に起床していて、スーツ姿で窓の外を見つめながら器用にネクタイを締めている。
短めの黒髪と最近伸ばし始めた薄めの顎髭。その横顔に男の色香を感じて。

ああ、やっぱりカッコいいな。

なんて不覚にも思ってしまった。

「志保子、おはよう」

振り向いた聡と目が合うと、トクン、と心臓が跳ねる。

「おはよ。ケーキ、おいしかったよ」

それだけいって俯いたのは、今の胸の内を悟られたくなかったから。

別れた男にトキメクなんてありえないもの。

「ああ、ならよかった。実は、志保子の誕生日だってことうっかり忘れてて、気付いたら、コンビニしか開いてない時間になってたんだ」

私なんて、ケーキを見るまで自分の誕生日を忘れていたのに。

なんてことは言えないけど。


< 6 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop