2LDKの元!?カレ
廊下を挟んで右側にはバーカウンター。左側には数席ほどが並ぶメインダイニングが見えたが、私達はさらに奥へと連れて行かれる。
たまたまキャンセルになったという席が個室だったなんて思っても見なかった。
おそらく予約困難なはずの席だが、この事実を素直に喜ぶべきなのだろうか。
もし経費で落とせなかったら、ちょっぴり泣きを見る金額になるかも知れない……などと現実的な思考が割って入った。
けれど、開かれたドアのその向こう側を見た途端、そんなことはどうでもよくなってしまう。
燭台の炎が優雅に照らす広い室内。
純白のクロスが引かれたテーブルと、背板に細やかな細工がされたアンティークの椅子。
敷き詰められた深紅の絨毯も相成って、気品のある雰囲気を醸し出している。
床から天井まである大きな窓からは中庭が望め、ライトアップされた噴水が煌めく水のアーチを描く。
さすが超人気店のル・シエル。
自慢はクオリティーの高い料理だけだと思っていたが、非日常に身を投じるという贅沢までも存分に味あわせてくれるだなんて。
流石としか言いようがない。
私はずらりと並んだカトラリーに圧倒されつつ引いてもらった椅子に座り、食前酒にシャンパンを頼んだ。