2LDKの元!?カレ
あまりに勢いよく飲込んだのでゴホゴホとムセてしまって、結局また西野くんに笑われる。
「大丈夫ですか、チーフ」
「……う、うん。大丈夫」
「さて、お菓子を食べたら帰りましょうか。会議まであと三日。早速行動開始です」
「よろしくね、西野くん」
マカロンとフィナンシェを平らげると、支払いを済ませて部屋を出た。
到着したときは、空席が目立っていたメインダイニングのテーブルもすべて客で埋まり、ドレスアップした女性客が花を添えている。
ピアノの生演奏の音と共に聞こえてくるのは、バーカウンターで客と会話するバーテンダーの耳滲みのいい流暢な英語。
この空間に存在するものすべてがル・シエルを形作っているのだと思ったら、自然と背筋が伸びた。
「チーフ、どうかしました?」
「うん、やっぱりル・シエルはスゴいなって思って」
また、こよう。
そう心に決めてクロークで荷物を受け取ると、テーブル担当だったウエイターとコミヤマさんに見送られ、店を後にした。