オクターブ ~縮まるキョリ~
明日歌は幼稚園の頃からの友達で、いわば幼なじみ。
厳密に言うと、幼稚園は別だったのだけど、習っているピアノの先生が一緒だったのだ。
幼少の頃の、あるレッスンの日のことだ。
たまたま先生の家に早く着いたところ、すごく綺麗なピアノの音色が聴こえてきて。
一緒に居たお母さんと「じょうずだね、しほよりもおねえさんのひとかな」と話していたところ、部屋から出てきた女の子。
それが、明日歌だった。
初めて明日歌を見たとき、私は目の前にお姫様が現れたのかと思った。
黒のサラサラのロングヘアー。
頭に巻かれた赤のリボン。
白のレースのワンピースに、ピンク色のバッグ。
パッチリした二重の目に、長くて繊細な睫毛。
白く柔らかそうな肌、筋の通った鼻、形の良い唇。
何もかもが理想で、おなじ年代の女の子なのに、とにかくドキドキした。
「あっ、そのキーホルダー!」
あの時、最初に話しかけてきたのは、お姫様の方からだった。