Wonderful DaysⅠ



(side:アルバート)


ヘリポートを出て歩いていれば、ポケットに入れていた携帯が着信を告げる。

取り出してディスプレイに視線を落とせば、そこには大王様のお名前が。

あの人がこんな時間に掛けてくるなんて、きっと厄介事に決まってる。


───出たくないな・・・


出ようか迷っていると


「アル兄さん?」


名前を呼ばれてハッとする。

意識を戻して視線を隣に向ければ、マリアが不思議そうな顔をしていた。

それに笑顔で答えて、やっと通話のボタンを押す。


「───はい」


「俺だ」


いつもと変わらない口調で話すのは大王様こと、兄のマーク。


「こんな時間に掛けてくるなんて・・」


どうしたんだい?って聞こうとする前に


「今から横浜の『シェラトン』に行ってアイツに会って来い」


指令が告げられた。


< 113 / 757 >

この作品をシェア

pagetop