魅惑のハニーリップ~危険な冒険編~
次の日の朝。
いつもより少し早く起きてシャワーを浴びた聖二さんに、朝食のトーストをいつものように差し出す。
なのに、今日はコーヒーに口をつけるだけで、トーストを食べようとはしないんだよね。
「食べないの?」
「…んー。ちょい、二日酔いでね…」
なるほど。
そりゃ、あんなに酔うまで飲んだら、翌日はこうなるかな。
「ていうかさ…遥ちゃん、今日…怒ってない?」
聖二さんが私の表情を伺いながら、苦笑いを浮かべる。
「…なんで?」
「なんでって…顔が怒ってるっぽいから。
昨日は遅くなってごめん。接待されちゃうと、なかなか早くには帰れなくてさ。」
“怒ってる”なんて言ってないのに、聖二さんは巧妙に私の表情を読み取るんだ。
怒ってるのは怒ってるよ!
でも、理由は帰りが遅かったことでも、飲んで帰ってきたからでもない。