小悪魔な彼
 
「知ってますか?
 本当は俺、あの時、嫉妬でどうにかなりそうだったんですよ」

「え……」


それは、あたしが思っていたことと180度違う心の内だった。


だってあの時颯太は、猛にぃにつけられたキスマークを見て、何も言わずに身を引いて……。
だからあたしに対して、こういうものをつけられてもどうでもいいのかと思ってた。


「だけどあの時、自分の感情だけで動いていたら、俺は香澄を傷つけてた……。
 無理やりにでも、抱いて自分のものにしてしまってたと思う」

「……颯太…」


少しだけ眉をしかめて、苦笑する颯太。

なんて答えたらいいのか分からない。
 
< 391 / 416 >

この作品をシェア

pagetop