小悪魔な彼
「知ってますか?
本当は俺、あの時、嫉妬でどうにかなりそうだったんですよ」
「え……」
それは、あたしが思っていたことと180度違う心の内だった。
だってあの時颯太は、猛にぃにつけられたキスマークを見て、何も言わずに身を引いて……。
だからあたしに対して、こういうものをつけられてもどうでもいいのかと思ってた。
「だけどあの時、自分の感情だけで動いていたら、俺は香澄を傷つけてた……。
無理やりにでも、抱いて自分のものにしてしまってたと思う」
「……颯太…」
少しだけ眉をしかめて、苦笑する颯太。
なんて答えたらいいのか分からない。