小悪魔な彼
 
「だけど、香澄が猛さんにところへ行くようなことをしてしまったのは自分だし……
 だから精一杯の強がりをして、身を引くことにしたんです」


「……バカッ…」


あたしは思わず、颯太に抱き着いた。


「別に猛にぃにつけられたアレは、あたしが望んでしたことじゃないよ。
 そのあと、思いきり押しのけたもん」

「……本当に?」

「そうだよ。
 それに、もしそのまま、颯太に抱かれることがあっても……
 あたしは颯太のこと、嫌いになんかならないよ。

 颯太になら、何をされたって構わないから」


これは本当。

颯太にされて、一番怖いのは、自分のもとから去っていくこと。


だからあたしを求めてくれるという行動だったら、絶対に嫌いになんかならない。



「あー、もうっ……」



颯太はあたしを抱きしめ返すと、急に声をあげた。
 

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