小悪魔な彼
「なんで今、そんな可愛いこと言うんだよっ……。
そんなこと言われたら、抑えられなくなんだろ」
「そ、そうた…?」
口調が、いつの間にかいつもの敬語が消える。
一瞬あたしはあっけにとられた。
「きゃっ……」
急に体がぐるんと動かされ、視界が変わる。
ずっと見えていた木の幹が、いつの間にか空へと視界を移す。
「颯太……?」
そして目の前には颯太の顔。
あたしは石段の上で、押し倒されていた。
「ちょ、ちょっと待ってっ……」
「待てない」
「…っ」
急な展開についていけないあたしに、颯太は構わず口づける。
思わず、ドンドンと背中を叩いたけど、颯太の体はビクともしなかった。