小悪魔な彼
 
「引っ越してから、耳がくさるほどお前の話ばっかで……。
 確かに妬みもあったかもしんねぇけど、お前のことが好きだったのは事実だよ」

「……っ」


それを聞けただけで、十分だった。


大好きだった友達に、突然の仕打ち。

そんなに自分が嫌われていたのかと思っていた恐怖。
だけどそれはどこかでねじ曲がってしまっただけで……



「あたしも……葵ちゃんのこと、大好きだよっ……」


あたしは、写真を握り締めて涙をこぼした。



「それと……」



猛にぃが改めてあたしを見る。

あたしは流れてい涙をぬぐって、猛にぃを見返した。



「すまなかった」


猛にぃは、深く頭を下げた。
 
< 403 / 416 >

この作品をシェア

pagetop