小悪魔な彼
「お待たせ」
「いえ」
帰りのHRが終わって廊下に出ると、いつものようにあたしを待つ颯太。
あたしは壁にもたれかかっている颯太に声をかけた。
「今日は1年って、5時間目で終わる日だったよね?
何してたの?」
2年のあたしは、6時間目までみっちりある。
だけど1年の颯太は、5時間目で終わってるので、1時間ほど暇をしていたはずだ。
「図書室にいましたよ。
本を読んでいればあっという間です」
「そっか。
颯太って本好きだよね?何読んでるの?」
「今はこれです」
と、鞄から取り出したのは、文庫本だけど見るからに難しそうなタイトルで……。
「読んでみますか?」
「遠慮しておきます」
あたしには、到底理解しがたい本だった。
「面白いのに」
「あたしを颯太の脳と一緒にしないで」
あたしのほうが年上だけど、絶対に颯太のほうが頭はいい。