小悪魔な彼
「え、朱里もそう思ってるの?」
「そういうわけじゃないけどさ……
でももし仮に、あの時教えに来た先生が、三浦先生じゃない、別の20代の先生だったら……
香澄はその先生を好きになってたんじゃないの?って……」
「そんなことないよっ」
そんなはずない。
あたしは三浦先生だから好きになった。
いつもあたしのことを迷惑がらずに相手して、分かりやすく勉強を教えてくれて……。
「ま、香澄がそう思っているんならいいんじゃない?
周りに流されないで、自分の気持ち貫きなよ」
「……うん」
朱里はそれ以上、あたしの気持ちを否定することはなかった。
(俺が年上だったら、俺のことを好きなってくれました?)
峰岸くんの言葉を思い出す。
もしそうだったら……
もしかしたらあたしは……。