小悪魔な彼
 
「あ……先生、これ可愛いですね」


そろそろ帰ろうかと教科書を閉じた瞬間、目に映ったのは机の上に置きっぱなしのボールペン。

それは、ほかの文房具とは相いれないデザインの、パンダのボールペンだった。


「書きづらくて仕方ないけどな」
「あはっ。確かに重そう」


大きなマスコットパンダがついたボールペンは、確かに長文を書くには絶対に向いていないデザインだった。


「でも、意外ですね。先生がこんなもの使ってるなんて」
「んー、まあな」


先生の持っている物は、基本シンプルなもの。

決して、黒一色とかそういうものではないけど、無駄なデザインは取り入れないようなシンプルなものばかりだった。


もしかして……
誰かからもらったものなのかな……。
 
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