契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「それでいい 君は俺の婚約者なのだから」


「すぐに退院出来ますよね?」


貧血なのだからすぐに退院できるのだと思う。


「いや、貧血の度合いを調べる検査があるし、入院はもう少しかかるだろう」


「……私……悪い病気なんですか?」


「なに言ってる?貧血を甘く見たせいで少し悪くなったんだ なぜ連絡を受けた時にすぐに行かなかった?」


琉聖さんに軽く咎められて、シュンと俯く。


こんなになるまで放っておいた自分の責任だとわかっている。


「はい……」


「体力が落ちているし、昨日のケガもあるから貧血が改善するまで入院だ」


落ち込んでしまったのが、わかったのか琉聖さんは私の頬に触れて上を向かせた。そして唇に軽くキスを落とす。


「身体を治すことだけを考えよう 俺が付いている」 


頬に触れていた手は髪に移り、そっと撫でてくれる。


「ひとりでも大丈夫です 琉聖さんは仕事があるんですから 気にせずに会社に行ってください」


そこへノックがあり、看護師さんが食事を運んできた。ベッドの上にテーブルを設置して食事ののったトレーを置く。


看護師さんを見ていると、ちらちらと琉聖さんを見ているのがわかった。琉聖さんはカッコいいから、どこに居ても立っているだけで目立つ。


女の人に注目されるだけで、こんなに胸が痛いなんて……。今、琉聖さんが優しいのはケガをした私に対して罪悪感からなのだろうか……。


琉聖さんの気持ちを知るのが怖くて、菜々美さんとのことを聞けないでいた。

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