契約妻ですが、とろとろに愛されてます
朝食を食べていると、お姉ちゃんがノックの後に入ってきた。手には紙袋を二つ持っている。


「あら?琉聖さんは会議?」


今朝の看護師さんと同じことを言う。


「朝早くにどうしたの?」


いつも来るのは仕事が終わってからの夕方か夜。


「今日は遅番だから、家を早く出て来たのよ?そろそろ読む本や新しいパジャマも欲しい頃だと思って」


ベッドの上にファッション雑誌や週刊誌などが置かれる。


「ありがとう、でもこれだったら下の購買で買えるから大丈夫だよ?重かったでしょう?」


「そうだったの?購買って便利なのね?」


「うん コンビニみたいに物が揃って――」


雑誌の上に置かれた物を見て、私はぎょっとなる。


「お姉ちゃんっ!何?このフリフリのパジャマはっ!?」


目の前に襟や半袖の袖口を縁取るヒラヒラ、お尻まで隠れる身ごろの裾にもフリフリのレース。七分だけのパンツを持ちあげて見ると、その裾にもフリフリ……。


白のフリフリパジャマを持ちながら絶句してしまう。


「可愛いでしょう?そんな色気のない綿のパジャマを着ていたら真宮さんに呆れられてしまうと思って、社員価格で買っちゃったのよ それでも結構高かったのよ?」


「こんなの着られるわけないでしょう!返品してよ!」


「返せないわよ、もう洗濯しちゃったんだから」


嫌がると思って見せる前に洗濯しちゃったんだ……お姉ちゃん、確信犯……。


「お姉ちゃんっ!」


お姉ちゃんとのやり取りに、ノックと病室のドアが開いたのにも気づかなかった。


「可愛いパジャマだな」


琉聖さんの楽しそうな声が降ってきた。


「琉聖さんっ!」


慌てて隠そうとしたけれど、お姉ちゃんに取り上げられる。お姉ちゃんは挨拶をしてから「たまには気分を変えてと思って」なんて琉聖さんに言っている。

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