契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「そうですね、柚葉に良く似合いそうだ」


「でしょう?柚葉、せっかくだから着替えて見せてよ 今着ているパジャマは洗濯してくるから」


ふたりとも楽しそうで、私はため息を吐いたもののお姉ちゃんの好意もあるし……と、着替える為にシャワールームに向かった。


新しいパジャマに着替えた私を満足そうに見ると、お姉ちゃんは仕事に出かけて行った。残された私は恥ずかしくてベッドに戻ると掛布団を首までかけた。


「なぜ隠す?良く見せてくれないか?」


「ど、どうして来たんですかっ?お仕事に行くんじゃ――きゃっ!」


私は掛布団ごと抱き上げられてソファに移動させられた。ソファと言っても座っているのは琉聖さんの膝の上。目の前に整った顔、優しい眼差しで見られている。


「琉聖さんっ!?」


驚いていると、唇がふんわりと重なった。そして啄むようなキスを何度も繰り返される。


「こんな可愛い柚葉を見たら堪らなくなる」


甘いキスの余韻も冷めやらぬまま、次に重ねられたキスはしっとりと口腔に舌が入り込む。舌と舌が絡み合い、ジンと痺れたような感覚に襲われる。


いつ看護師さんが入ってくるかもしれないのに、私は琉聖さんのキスに自分から応えていた。


頭では離れなきゃと思っているのに、心はピッタリと寄り添いたがっている。


キスを終わらせたのは琉聖さんからで、それがドアをノックされたからだと言うのを、少し経ってからわかった。


「どうぞ」


低音の声が病室に響く。


私はまだ琉聖さんの膝の上にいて、慌てて降りようとしたけれどぐっと押さえられ身動きが出来ない。


ドアがゆっくり開かれた。そこに見えた人を見て驚く。小さな可愛らしい花篭を持った菜々美さんだった。


「菜々美!」


琉聖さんも驚いたようで声を上げた。


「入院したと聞いたので……そんなに怖い顔をしないで、お見舞いに来たのよ?」


琉聖さんは苦々しげな表情を浮かべながら私はベッドに戻された。


「柚葉、休んでいてくれ」


そう言うと、入り口から数歩の所に立っている菜々美さんの腕を掴む。


琉聖さん……菜々美さんが来て動揺しているの?


琉聖さんは厳しい顔つきで菜々美さんを見ている。


好きな人にそんな顔はしない……私の考えは思い過ごし?そんなことを思ってしまった。


「琉聖!柚葉さんと話をさせて!お見舞いに来たのだから」


「話などないだろう?」


琉聖さんは菜々美さんの腕を掴んだまま病室を出て行った。


ふたりが出て行ったドアを茫然と見ていたけれど、心配になってベッドから出た。


どうして菜々美さんは来たの?


ふたりを追おうとドアに行くと、菜々美さんが持っていた花篭が落ちていた。しゃがんで花篭を手にした時、眩暈に襲われてその場で治まるまで動けなかった。

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