契約妻ですが、とろとろに愛されてます
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会社に着いて机に着いた途端、佳美先輩が私の左の薬指の指輪を見つけた。


「柚葉!どうしたの?こんなすごい指輪見たの初めてよ!」


佳美先輩のその声に少し離れていた麻奈が反応して飛んでくる。


「柚葉?その指輪って……」


麻奈が驚いた表情で私を見る。


「……婚約したの」


相手が誰かを麻奈が知ったら更に驚くだろう。そう思ったらボソッと小さな声になっていた。


「「婚約ぅ~!?」」


でも、しっかり聞こえていたようで、ふたりが驚いて大きな声を上げた。


「いったい誰と婚約したのよ!?」


麻奈が話を聞きだそうとした時、上司が姿を見せ私は口をつぐんだ。


*******


お昼になる少し前、会社に琉聖さんから電話があった。


運悪く電話を受けたのが麻奈だった。すぐに麻奈は私の相手が誰だか悟ったみたいだった。


「柚葉、真宮さんから電話」


何かを疑っている親友は不機嫌な声だ。


私は麻奈から目を泳がせて琉聖さんの電話に出る。


「お電話代わりました――」


『今晩、八時にレストランを予約した』


レストラン……今日着ている服はかなりカジュアルで、琉聖さんが行くと思われるレストランに相応しくないと思う。


琉聖さんのマンションに置いてある服なら問題ないはずだから、一度マンションへ行き着替えよう。


「わかりました マンションへ行って着替えてもいいですか?」


『かまわない マンションの警備室にカギを開けるよう連絡しておく』


そう言うと、琉聖さんは電話を切った。


なんてそっけないのだろう……。愛し合ったのに、まるでビジネスのような口調に心の底でがっかりした。


愛し合う……そう思うのは私だけなのかも……琉聖さんにとっては性欲を処理した……だけなのかもしれない。


「ゆ~ず お昼に行こう?」


お昼の時間になると麻奈が私を誘った。


それを聞いた佳美先輩は机にうなだれる。


「もうっ 残念!私 遅番だわ 色々聞きたかったのに」


遅番の佳美先輩が悔しそうに残念がっている。


「佳美先輩、私がよ~く聞いておきますから!あとで報告しますねっ」


麻奈は佳美先輩に約束していた。

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