契約妻ですが、とろとろに愛されてます
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就業時間が終わると、琉聖さんのマンションへ向かった。


警備員室に行くと身分証明証の提示を求められ、本人だと確認されると琉聖さんの部屋まで一緒に向かった。


玄関に入ると中はしーんと静まり返っている。


まだ琉聖さんは戻っていないよう。


大企業の副社長なんだから時間ぴったりには帰れないよね。


パンプスを脱ぎ、おずおずと玄関からリビングルームに向かう。


今日も塵ひとつ落ちていない完璧な部屋だった。


綺麗な部屋……ホコリも無い……。誰がやっているんだろう?まさか琉聖さんってことはないよね?


そんなことを考えながら、寝室に足を運ぶ。


寝室にドレスが用意されているらしい。


そこに入るのはあの時以来……心臓がドキドキしてノブに置いた手が震えている。


変に意識をしてしまい、大きく深呼吸をしてからドアを開けた。


やっぱり目に飛び込んできたのは大きなベッド。更に頬が熱くなるのを感じた。急いでベッドから視線を逸らすと、ローズピンク色の膝丈のワンピースが目に入る。


可愛らしいデザインだけど、その少し派手な色は目を引いてしまうだろうと思わせる。肩から流れる様にひらひらと柔らかい生地の袖。


このワンピースは試着していないので、たくさんの箱の中の一つに入っていたのかもしれない。


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あとは髪をどうするか……。


支度は髪型だけになり、ローズピンク色のワンピースを着た姿で鏡の前に立ってみる。


高級なだけに着心地は申し分ないけれど、こういうワンピースを着たのは二回目、正直言って自分に似合っているのかわからない。


琉聖さんの隣にいる女性は、自信に満ちて、綺麗で、いわゆる才色兼備の人の方が合うと思う。私では不釣り合いに思える。

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