思い出したい恋心 〜三十路女の甘え方〜


「あ、違いますよ。今年転勤でね、こっちに」

「へぇ、単身赴任ですか?」


ああ、ここまで聞いちゃうと私はもうオバサンかもな、と思いつつ聞いてみた。


「いや、ひとり身で」


お互い、会社の組織に浸かってしまっているよね、という話が進む。


二十代後半にもなると結婚の焦りもあった。


周りが次々に旦那や妻というパートナーと結ばれ、家庭を作っていく。


自分は付き合う人はいたけど、どうしても結婚というラインまで達せないまま別れてはまた別の人と付き合い、の繰り返しで31歳を迎えてしまった。



家と会社、家と会社とスーパーマーケットの往復だ。



自立して生活ができているのだから、このまま適当に暮らして老後を気ままに迎えてもいいとう諦めがあることは否めない。


ガツガツして出会いパーティーに行こうとも思った時期もあったけど、どうにも仕事に縛られてこれまた諦めの境地である。



この頃は成り行きまかせ出たとこ勝負の「勝負」すらする気がない。
< 10 / 27 >

この作品をシェア

pagetop