思い出したい恋心 〜三十路女の甘え方〜


通勤途中には電車が揺れる場所がある。車内アナウンスで「お気をつけください」と流れる。


もう何年もこのタイミングでこのアナウンスを聞いている。


声の主が変わってもカーブは変わらない。


今日も"いつも通り"だった。


が、グラッと右足が滑り体が左側に倒れそうになった。


「わっ」


思わず声が出てしまうくらい。

ああ、隣の人ごめんなさい。重い体が当たります…


諦めるのは一瞬の出来事であとはどうしようもなかった。


その時、私の左脇腹を大きな手がガシッと支えてくれた。
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