思い出したい恋心 〜三十路女の甘え方〜


「香澄ちゃん!」

少し離れた所から私を呼ぶ声がした。

「あ、マリさん、お疲れ様でーす!」


マリさんは駅前でバールを経営している人だ。


「ビール飲んで行きなよ」

「あっ、わかりましたー!」

ふたつ返事で開けたばかりの自転車の鍵を再び掛け直した。
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