リア恋DASH!
連休の池袋は人が多くて、

まっすぐ歩くのに流されてしまう。


すぐ近くだって甘く見てた

羽鳥の背中が見えなくなった。


聖地とかいって知ったかぶってたって、

本とかでしか知らないし、

池袋には上野の動物園の帰りに親としか来た事ないし、


迷子になったら…


あたしってば、先天的な方向音痴なんだよね。


どうしよう

羽鳥どこ?


「はとりぃっ」


情けないこえで、半泣きになる

けど、大声で呼ぶ勇気もなんくて

ぐいっと引っ張る手を振り返ると、

呆れた顔した羽鳥。


「何泣きそうになってんだよ。

 迷子になってるんじゃねーよ。」


「だって…」


「大体、目の前ハンDOなんだけど?」

「わ。そうだったんだ。」


呆れた顔しながら、

「ほら」

と手を差し出す。

手を繋げってこと?


「ええと、いいの?」


「しょうがないだろ?

 迷子になられて探すのはもっと大変だ。」


「うん」


あったかい大きな手は、さっきまでの不安を一掃してくれた。


今日ずっと一緒にいるけど、

ずっと助けてもらったり嬉しくさせてくれたり

もう泣きそうっていうか泣いちゃってるんだけど、

ねえ。羽鳥。


あたしやっぱあんたが好きだよ。


あたしは羽鳥の手をキュッと握り締めた。













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