あなたは笑顔で…
ひまわり



「こんにちは、光」


「いらっしゃい、華」



また来ると約束をしたあの日から、定期的に顔を出すようにしている。


顔を出しても話をするだけなのだけど。




季節は本格的に夏になり、外に出て過ごすには辛くなってきた。


だからか、最近は光も抜け出す会話回数が減ったみたい。



「今日も暑いよねぇ。ニュースで今日は、今年一番の暑さになるかもって言ってた」


「そうなの……」



私はそこまで暑いとは思わないけれど……



「あ、今日はさ、華に見せたいものがあるんだ」


「私に?」


「うん!」



何だろう……


光と会って、更にいろいろなことを知った。




……光のことも…



世界がどんどん広がっていくみたいで……楽しかった。


光が『思い立ったらすぐ行動』な性格なのも、まぁ比較的早く分かったわ。


また突拍子もないことでもするのかしら……?



「じゃあ外行こう」


「外?出てもいいの?」


「病院の敷地内なら大丈夫」



光がそう言うなら大丈夫かしら。



「あ……」


「?何?」



それでも……



「……何でもないわ。行きましょう」



何故か……引き止めそうになった。


何故……?


視線を感じて横を見ると、光がにやにやしながら私を見ていた。



「………何よ」


「もしかして、俺の心配でもしてくれたの?」


「なっ……そんなわけ、ないじゃない。どうして私が光の心配しなきゃならないのよ!」


「えー、残念」



にやにやしている光といっしょに外に出る。


こいつ絶対信じてないわね。


でも……引き止めようとしたのは本当だけど、何故かなんて、私にも分からないわ。


強い日差しが皮膚に当たり、少しピリピリするように感じる。



「こっち」



光は嬉しそうに私の手をひく。


どこに行くのかしら…


引かれるがままに光についていく。


最近思うけれど、光ってスキンシップとか多いと思う……


今だって手を繋いでいるし。


それを嫌だと思わない私は……どうかしている。



「ついたよ」



下を向いて歩いていたので私は顔を上げる。



「…わぁ……」


「気に入った?どうしても華に見せたかったんだ」



光は悪戯が成功した子供みたいに笑った。





< 10 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop