あなたは笑顔で…
「えぇ……とても、綺麗」
私の目の前に広がったのは、一面の黄色いお花畑。
太陽の光を浴びて、眩しいぐらいにきらきら光っている。
「華、前に病院来てくれた時にいろいろな花を見て回ってるって言ってたから。
ここのひまわりは毎年凄く綺麗に咲くから、見せたかったんだよね!」
「ひまわり……」
図鑑にもあったし、道にも咲いていたけれど……ここまで綺麗なひまわりを見るのは初めて。
「なんか……ひまわりって、光に似てるわよね」
「えっ!?何、いきなり……」
まぁ驚くわよね。いきなり言われたら。
「きらきらしてて、明るくて、綺麗で、力強くて、太陽に向かって精一杯伸びているところ……とか?」
光まんまじゃない、と言えば光は顔を少し赤くした。
「華から見た俺って…そんななんだ……」
「え、何か言った?」
「あーくそ……何でもない」
「そう?」
変な光……
それにしてもやっぱり、花はいつ見ても飽きないわ。
心が、不思議と穏やかになる。
それからしばらく私達は他愛のない会話をしながらひまわりを見ていた。
「そろそろ行こうか」
「そうね」
日が傾いてきて、太陽が赤く染まる。
随分長い間見ていたみたい。
「本当に、ありがとう……連れて来てくれて」
思えば、光にはいろいろなものをもらってばかりだわ。
今度は私が何かしてあげようかしら。
「そんなに喜んでくれるとさすがに照れるね……」
光は少し目線を私からずらして眼鏡をかけ直した。
「でも、本当に嬉しかったの。ありがとう」
「そっか。まぁ気に入ってくれてよかった」
夕日で光の髪がきらきらと輝いた。
はちみつ色の瞳が優しく細められてその中に私が映った。
いつもと雰囲気の違う光の笑顔に何故か胸が音をたてる。