あなたは笑顔で…



か、顔が…心なしか熱い気が……


何…この、気持ち……



そんなわけない。


気のせい、よね。



考えを打ち消すように私は頭を振った。



「どうしたの?」


「……なんでもないわ」



変な華、と言って光はまた笑った。


それにつられるように私も自然と笑みがこぼれる。



温かい笑顔。


不覚にも、ずっとこのままでいたいと……そう思ってしまった。








でも、光の一言が、私に現実を見ろと言っているみたいに聞こえた。








「え……?」


「だから、そんなにここが気に入ったなら、これから毎年二人で見に来よう」



無邪気な、光の笑顔。


さっきとは全く違う意味で胸が音をたてた。




何だろう……胸が、圧迫されているような不快な気持ちになる。


不快…じゃなくて、よく分からないけれど……


例えるなら、黒くて重い靄が胸の中を埋め尽くしているような……


適当な言葉が浮かばないけれど、嫌な気持ち。



「そうね…二人で、来たいわね……」



光に笑って欲しくて、私はそう返事をする。


でも、声が震えてしまった。


しまった、と思った時には光が私を怪訝に見ていた。



「華……?」


「私、今日はここで失礼するわね」



これ以上、いっしょにいたら、泣きそう。


分からないけど、泣きそう。


私、こんなに感情に左右されるようなやつだったっけ?



「待ってよ華」



ここから離れようと背を向けた私の手を光が掴んだ。



「……離して」


「そんな顔してる華を一人には出来ない」


「…………」


「華……こっち向いて?」



私の手を掴む力が強まる。



「華……?」



光の声に従うようにおずおずと光を見る。


光の真剣な瞳が私を見ていて目線を反らせなかった。



「……何で、そんな顔するの?」


「…………」



私……どんな顔していたの……?



「苦しそうな、悲しそうな顔してたよ」



私の心を呼んだかのように光が言葉を紡ぐ。





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