あなたは笑顔で…
会いたくなかった……
会ってしまったら、きっと私は光の邪魔をしてしまう。
光の残された人生を、台無しにしてしまう。
だから決めたのに……
光が生きている間は、もう光とは会わない。
光の幸せの邪魔をせず、光の幸せを祈るって……
なのに……
きつく抱きしめられて、光の体温を感じて、声を聞いて、名前を呼ばれて……
どうしようもなく嬉しく思う自分がいる。
「どうして、光がいるの……」
「ここなら、華いるかなって思ったから」
抱きしめられていた力が緩まり、光が正面に来る。
最後に見たときと変わらない、真っ直ぐで綺麗な瞳。
「急に華来なくなるし、寂しかったんだけど。
……なんで、来なくなったの?」
鋭い視線に胸の奥がドキリと鳴る。
「そんなの、言えるわけないじゃない…」
私は光の視線から逃げるように顔を背けた。
私は死神で、光の命をとるのが仕事で、でも光のことが好き、で……
ニンゲンの寿命は例え神だとしても変えることができない。
初めから決まっていることだから。
でも光には幸せになってほしい、だなんて……言えるわけがない。
そんなのただの偽善だわ。
だって、私は結局光の命を……
グッと唇を噛み締めた私を、光は真剣な眼差しで見ていた。
「……華が来なくなってからいろいろ考えてたんだ」
静かな声に誘われるように私は顔をあげた。
ぱちりとあう視線。
「話、聞いてくれるかな?」
その顔が少し寂しそうで、私はつい頷いていた。