あなたは笑顔で…
期限
光に会わなくなってからすでに一ヶ月が過ぎた。
気づけば、もう光の命の期限が近づいている。
「この間までは夏だったのに……」
時間が過ぎるのは速いわね。
私は久しぶりにニンゲンの世界に来ていた。
この一ヶ月間は光に会わないようにずっと引きこもっていたからすごく懐かしく感じるわ。
「もう……秋なのね」
そっと座っているベンチを撫でる。
光と初めて会ったときの、あのベンチ。
私は……こんな中途半端な感情で、仕事を…光の命をとれるのかしら?
「ついこの前まで冷酷だとか言われていたのが懐かしいわ」
本当に……ついこの前までは何も考えずに淡々と仕事をするだけだったのに。
そのことになんの疑問も、感情も持たなかった。
でも、光とここで出会って、いろいろなことを知って……
前よりも、自分が好きになれた気がする。
死神としては失格なんでしょうけど。
はぁ、と一つため息を溢す。
「そろそろ行こうかしら」
いく宛なんてないけれど、ここにいるよりは気が紛れるわ。
ベンチから立ち上がろうとしたとき、後ろからぎゅっと抱きしめられるような感覚がした。
「はぁ……やっと見つけた」
ドクン、と胸が音をたてる。
間違えるはずがない……
この声……
「探したよ……華」
きつくなる力にどうしようもなく泣きたくなる。
どうして……どうして、会ってしまうの…
「…光……」
ぽろり、と私の意思とは関係なく、一粒の涙が頬を伝った。