あなたは笑顔で…
私の見てきたニンゲンは全員、自分が死ぬと分かると大抵恐怖する。
そして私に、みっともなく命乞い。
ニンゲンの命なんて、生まれた時から決まっているのに。
無理だと分かると泣き出したり、怒ったり、憎しみのこもった目で見てきたり……
長く生きた人、死ぬことを覚悟していた人でさえも、少なからず恐怖を感じている。
「ほんとに、愚かだわ……」
「えー?何か言ったー?」
「別に何も?」
少し笑いながら言うと、ふーん…それじゃあ仕事戻るわー、と言って仕事に帰って行った。
やっと静かになったわね……
私は見ていた本の続きのページを開く。
……花は、好き。
私と同じ名前だし、綺麗だし、かわいいし……言葉にはできないけれど……好き。
ぼーっと写真を見る。
「………そういえば」
私、半年間暇なのよね。
再び図鑑に目を落とす。
なんだかんだ言いながら、私って本物の花をちゃんと見たことないかもしれないわ。
これを機会に、一度いろいろな花を見に行こうかしら?
「うん、そうしましょう」
せっかくの休みだもの。(仕事だけど)
私は花の図鑑だけを持ってニンゲンの世界に行った。
この決断が、私にとってよかったのか悪かったのか……
この時の私には全く分からなかった。
でも、貴方と会えたこと、私は後悔してないわ。