あなたは笑顔で…
「そう、運命……」
心に染み渡るような、光の声。
顔をあげた光は、とても優しい笑顔を浮かべていた。
「つい、会いに来てほしいって思って、期待してたぶんだけ華が来ないかったのが寂しくて、もう会えないのかと思ったら、またここで会えた」
伸びてくる光の手を避けずに私は光を見続ける。
頬に触れたその手は、とても暖かかった。
「会えるようになって、一緒に過ごすようになっ……笑顔が見れるようになって………っ…」
「光?」
はぁ…はぁ…、と苦しそうに浅い呼吸を繰り返す。
……光の様子がおかしい。
「光、息が……っ」
「は、な……聞い、て…」
必死な光の姿に泣きそうになる。
聞かないといけない、なんて、光の姿を見れば分かるけれど……
光の苦しむ姿なんて見たくなんかないわ。
「はな……」
「光、今、病院に……」
「華……っ」
ぐっと強く引き寄せられたと思ったら、視界に映る光の顔。
そして唇に暖かくて、柔らかい感触。
「……え、」
「華……ごめん、いろいろ伝えたかった、けど……時間切れ、みたいだ」
苦しそうに笑う光を私は見つめる。
……さっき、何が起こったの?
今、何が起こっているの……?
「さ、いごに……華。
俺の命、華にあげる」
「……!! 光、どういう……」
言葉を全て言い終わる前に、また光にキスされた。
「ひ、かり……」
「華……愛してる」
私が今まで見たことのある中で、光のその笑顔は甘く、満足したもので、一番綺麗なものだった。
光が倒れる姿、カシャンと眼鏡が落ちる様子、周りにいる人の顔が驚きと少しの恐怖に変わる瞬間……
その全てが、私にはスローモーションのように感じた。
私の恐れていた、期限が来てしまった―――